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月別アーカイブ  [ 2008年09月 ] 

人に知られず


ある日曜日の夕方、ちづると映画を見ていた。
とりあえず見るかもしれないから、とテレビから録画した映画だ。
つまり、たまっていたビデオの処分、という意味合いの映画鑑賞だった。

内容は、火山の活発化による都市パニック映画。
冒頭、誰もいない山奥の温泉でアベックがはしゃいでいる。
地鳴りが起こり、心配顔の二人。
突然、地面が裂け、二人は悲鳴を上げながら、溶岩が流れる地中に飲み込まれていった。
再び地鳴り、そして地面の亀裂は閉じ、あたりは静かな山の風景に戻る。

ここでちづるが言った。
「あんたはこの役やな」

チョー脇役だ。
誰でもいい役だ。
主役級とは一切共演していない。
要するに、これから起こる大パニックの予兆シーンの無駄な犠牲者だ。
ワシャこんなんか。
オーディションも受けていないのに、役柄決定か。


人間、誰でも自分の人生では主役だ。
でも、主役を演じながら、他人の人生に脇役で出演したりすることもある。
それは当然だ。
私が主役の私の人生には大勢の脇役が出ている。
その脇役たちにとっては、私が脇役だ。
持ちつ持たれつというやつだ。

たとえば、普段ぼ~っと暮らしているが、
知らぬうちに何かを目撃している可能性がないとは言えない。
どこかの誰かが主役の人生で、目撃者の役になっているかもしれないのだ。

ある日、探偵が訪ねてきて、私に質問をするかもしれない。
「あなたの同僚の○○さんについてお聞きしたいのですが・・・」
もちろん、このときの同僚とは、重要な役柄を担っている。

このとき、目撃者としての値打ちが決まる。
「そういえば、あの人、あの日は・・・」というのは“上”の目撃者だ。
「さあ? 何も気づきませんでしたねえ」というのが“中”の目撃者。
BGMが流れる中、大勢の目撃者の一人として、首を横に振るだけで流されてしまうのが“下”

ある日、刑事が写真を見せて質問するかもしれない。
「この人を見たことありませんかね」
もちろん、その写真の人物は脇役だ。

「ああ、この人なら」というのは“下の上”の目撃者だ。
「さあ? 知りませんねえ」というのが“下の中”の目撃者。
BGMの中、刑事が頭を下げて去っていくシーンでただ立っているのが“下の下”


実は以前、職場に刑事が来たことがある。
私は名指しで呼び出されてドキドキした。
優しそうな50代と、目つきの悪い30代後半だった。


刑事が帰った後、
「もう~、警察やって言うから、なんかいなってドキドキしとったら、
 ほれ、この間の銀行強盗。
 フルフェイスのヘルメットかぶっとったもんで、
 単車の免許ある人、みんな当たっとるんやて。
 写真見せて『このヘルメット見たことない?』とか言われたけど、
 『ワシ、ツーリングとかしやへんもんで』って言うたら、
 『そうですか、また何かありましたらご連絡ください』やて~
 んま~、ホント、ビビったわぁ~」

って、我ながら下の下の脇役。







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[ 2008/09/20 00:27 ] 世間話 | TB(0) | CM(11)
プロフィール

こみ

  • Author:こみ
  • 三重県在住。
    妻のちづると二人でダラダラ暮らしています。
    晴耕雨読が理想です。
    記憶を自在に操る一人暮らしの母のところへ通ったりもしてます。


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