いつもと変わらぬ昼休み、食事の後は読書をする。
ただし、今日は小説ではない。
ケータイの取扱説明書だ。
厚さだけは長編小説並だ。
私はこういうものははじめから順番に読んでいく性格で、
片っ端から忘れていく能力を持っている。
一度や二度読んだだけで、ケータイの複雑なボタン操作を会得できるとは思えない。
しばらくはこの取扱説明書を携帯しなくてはならないだろう。
ケータイよりも厚くてでかくて重いこの冊子を。
何はともあれ、今日は初ケータイ携帯日だ。
この『ケータイ携帯』という言い回しをちょっと気に入っている自分が恥ずかしい。
問題はどこにケータイを携帯するかだ。
本当はそれは決まっている。
作業服の右胸ポケットだ。
だって中にケータイ用ミニポケットがついているんだもん。
ところが胸ポケットはすでに大混雑だ。
右には、サイフ、車と家のキー、自転車のキー、耳栓が、
左には メモ帳、ボールペン、目薬、リップクリームがはいっている。
とりあえず、平坦なサイフとメモ帳、それにボールペンを左に収納。
あとを右に入れ、ケータイはミニポケットに収まった。
通勤途中、信号でポケットを探ってみた。
ケータイがない。
よく見ると、ミニポケットに入っていない。
キーや目薬とごっちゃになって、子供のおもちゃ箱みたいな状態だ。
入ってなかったのかと思って入れなおしても、
気がつくとごちゃごちゃの仲間入りをしている。
観察してみてわかったのだが、このミニポケット、底がない。
「ケータイ用ポケット」だと思っていたが、「ケータイ用囲い」だったのだ。
私の中では、ケータイはまだケータイ様だ。
ごっちゃにしておく訳にはいかない。
かばんに入れよう。
私の半月型巨大ショルダーバッグにもケータイポケットがついている。
ここにはバンソウコウとハンドクリームが入っていた。
ハンドクリームは隣の小物入れに移動。
やっと携帯場所が落ち着いた。
鳴ったときには取り出しにくいが、どうせ電源ははいっていないのだ。
いつになったら電源を入れて持ち歩くようになるのだろう。
今日のレッスンは『電話をとる』まで進んだ。
『待ち受け画面』や『着メロ』などというウキウキするようなレッスンが待ち遠しい。
もし、取扱説明書に書いてあることが本当なら、
ケータイを持つことによって、今、私が携帯しているもののうち、
いくつかのものを携帯する必要がなくなる。
カメラ、音楽プレーヤー、メモ帳、目覚まし時計などだ。
ライト機能というのもあったが、懐中電灯とは違うようだ。
何でもはじめのうちは楽しい。
今日はプロテインも初めて飲んでみた。
誰も触れてはくれないが・・・

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