どうかすると、朝晩は肌寒いような季節がやってきた。
週明けの雨が上がったら、一段と冷え込む予報だ。
西日しか当たらない私の部屋は、冬場とても寒い。
それでも、電気ストーブだけで、あとは布に包まってしのいでいた。
この冬はコタツを買おうと思う。
夏場に片づけをして多少広くなったからそのぐらいの余裕はある。
と、言うよりも、ずっと憧れだったのだ。
こたつ、
通称「おこた」
こんなに親しみを込めて呼ばれる生活道具が他にあるだろうか。
思いつくのは「おざぶ」ぐらいだ。
どんなに依存症になっても、テレビやパソコンのことを、
「おてれ」とか「おぱそ」とは言わない。
言ってる人とは付き合いたくない。
さて「おこた」も「おざぶ」も畳生活の申し子だ。
そのせいか、おこたは他の暖房機器とそりが合わない気がする。
ストーブはいけない。
おこたにはいるのに部屋が暖かかったら、おこたの魅力が半減だ。
それに、火の気はこたつ布団に引火する危険がある。
こたつ布団はミニスカートと同じぐらい、火遊びが好きなのだ。
ホットカーペットもよくない。
下半身ダブル加熱でのぼせてしまう。
カーペットにおこたの足跡がつくし、
そもそも、ホットカーペットと布団があればやぐらの部分は要らない。
しかしそれではみかんもあられも置くことができない。
その結果、食いこぼしなどで、カーペットはドス汚くなっていくのだ。
エアコンは似合わない。
確かエアコンの本名は、エアーコンディショナーだったか、
エアーコンプレッサーだったか、エアーコングラチュレーションだったか、
ともかくカタカナで長い。
この二つの同居は、フェアレディーZで民謡みたいな違和感がある。
暖房はおこたオンリィ。
しかし、暖房以外にもおこたと合わない電化製品がある。
いや、合わないというより、食い合わせ見たいな感じか。
まずはテレビ。
おこたには欠かせないアイテムのようだが、カラダには悪い。
テレビとおこたは接着剤のA液とB液みたいに、
二つあわせると人を引っ付けて放さない。
やがてごろりと横になり、過仮眠、深夜の目覚め、びっくり、となるのだ。
おこたに長く入っているとのどが渇く。
なのに冷蔵庫は遠い。
おこたは日本の大学とは逆で、入りやすく出にくい。
冷蔵庫行きは他人に頼るか、ぎりぎりまでガマンする。
そのときセットで考えられるのがトイレだ。
これがまた不愉快だ。
暖かいおこたから、寒い廊下を通って、ほのなまぬるい便座。
お湯で洗って熱風で乾かして、寒い廊下で、暖かいおこた。
戻ったとたんにトイレに行きたいような気がしてくる。
これは廊下か老化のせいかもしれない。
いろいろケチを付けてきたが、それではおこたに合うものはあるのか。
ある。
扇風機だ。
どちらも年中出ていて、お互いのシーズンに華を譲り合っている。
なんと美しい友情か。
そして春と秋には、この二者が生活のだらけ感を演出している。
いうなれば、おこたと扇風機は同じスタンスでいるということではないか。
そこで、どうだろう。
そろそろ扇風機のことを「おせん」と呼んでは。

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