歯が取れた。
といっても奥歯の詰め物。
いつもの腕毛の豊富な歯医者さんに行った。
私は歯医者さんが嫌いではないので、何かあるとすぐ行く。
「別になんともないです」
といわれたこともある。
詰め物が取れたのも初めてではない。
子供のころは虫歯だらけだったので、
口の中は詰め物だらけなのだ。
いわばバテレン・・・いやベテラン。
経験豊富な私は、取れた銀の詰め物を
「これです」といって渡した。
取れてすぐならこれが使える可能性が高い。
そう思って、ティッシュに包んで置いておいたのだ。
そしてゴミだと思ったちづるに捨てられたのを、
またゴミ箱から拾ってきたのだ。
「なるほど、じゃあ型をとって新しいのをつけましょう」
がっかり。
どうやら詰め物の中が虫歯になっていたらしい。
ちゅい~んとやった後、ゴリゴリゴリとやられて、
「レーザー当てときましょう」といわれた。
なに?
今までそんなことはなかったぞ。
ははぁ~ん、新たに導入したのだな。
機械がカチカチカチと音を立てるたびにレーザーが照射されるらしく、
熱のような刺激を感じる。
これって歯以外、たとえば的にでも撃ってみたらどうなるのだろう?
あーやってみたい~!
考えてみたら、ちゅい~んもゴリゴリもやられるばっかりで、
誰かにやってみたことはない。
あーそれもやってみたいー~!
口をすすいだとき、削った歯を舌で触ってみた。
詰め物が取れたときより、ものすごく深くなってる!
ああー見てみたい~!
そんなこんなで身もだえしていると、
腕毛の先生に代わって、看護婦さんが型をとりに来た。
「ハイ、口を開けてくださ~い」
と、マスクをした若い女性の顔が近づいた。
ここで
「してみた~い、見てみた~い」
という好奇心はどこかに消え去り、
頭の中は
「鼻毛、出てへんかいな?」
オンリーになってしまった。
で、後口が悪かったので、飲みに行ったのさ。
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