今朝、工事現場のすぐ横に信号で止まった。
そこには「ご迷惑をおかけします」の看板があり、
頭を下げている人のイラストが描かれていた。
もうおわかりだろう。
世の中のすべての人の意見を私が代表して言おう。
このお辞儀のイラストの成功例を見たことがない、と。
今日見たイラストは、ちょっと左曲がりで目を閉じて半笑いだ。
「恋人の肩に寄り添うポーズ」といった感じだ。
しかも、動きを表現しようとしたのか、
腰や肩の辺りに「〃」みたいな効果線がついている。
目を閉じて半笑いでくねくねしている作業服。
これでは挙動不審の現場監督だ。
過去に見たものも、ことごとく妙なポーズだ。
こちらに向かってスキーのジャンプをしてくるようなもの。
ヘルメットから足が生えた妙な生き物に見えるもの。
正面から描くのをあきらめ、横にお辞儀をしながら、上目使いの視線だけこちらを向いているもの。
目を閉じているだけで、全然お辞儀をしていないもの。
建築業界で今一番難しいのは、海底トンネルや巨大つり橋よりも、このお辞儀イラストなのではないか。
確かに難しいだろうと思う。
たぶん、お辞儀をしている人の写真を撮って、
それをきちんとなぞっても変なものになるだろう。
座って手をつけばそれらしく見えるかもしれないが、
工事するのに土下座まですると言うのも大げさだ。
ところで、あの絵は各建築会社が用意するのだろうか。
それとも、既製品が売られているのだろうか。
ひょっとしてお辞儀絵業界というものも存在するのだろうか。
いっそ、大賞を決めてみてはどうだろう。
最もお辞儀に見える大賞と、最も笑える大賞を決めるのだ。
そうなるとみんなが笑いのほうに走ってしまいそうだ。
なにしろ、お辞儀に見える絵は難しいのだ。
だからといって、わざと笑わせようとするとしくじるのだろうなあ。
お笑い業界ではそういうのを「すべる」とか「痛い」と言うが、
工事現場にはふさわしくないなあ。
スポンサーサイト