最近、車の調子が悪くなってきた。
来年の車検が10年目。
そろそろガタがきてもおかしくない年頃だ。
先日、出勤途中でエンジンが止まってしまった。
すぐにかかるのだが回転が低いんじゃないかと思う。
しかし、最近の車は勝手に回転を上げられないらしい。
コンピューターという神様が車のすべてをつかさどっているので、われわれ平民が手を出しちゃいかんのだそうな。
ドアのロックも開きにくい。
ボタンでポン、てな機能はついていないので、鍵穴に鍵を差し込んで開けるのだ。
そこまで神様にまかしちゃいかんと思ってポンボタンはつけなかったのだが、ここはまかしておけばよかった。
鍵が磨り減ってきたのかと思い、スペアに変えてみたが同じ具合。
助手席側やリアのドアはすんなり開く。
どうやら、運転席のドアの鍵穴の方が磨り減っているようだ。
全然別の話だが、むか~し乗っていたポンコツのキーで、その頃住んでいたあばら家の玄関の鍵が開いたことがあった。
さて、今の車だが、シートベルトが戻りにくい。
家に着き、シートベルトをはずし、キーを抜き、荷物を担いで、ロックしてドアを閉める。
そのとき、しゅるると収納されずにダルダルのままのシートベルトのフック部分がドアにガッキとはさまって半ドアになる。
普通の半ドアなら、ほんのソフトな乱暴ですぐ開くのだが、間にシートベルトの頭がはさまっているのでにっちもさっちもいかない。
そのくせロックはちゃんとかかっているのだ。
そのままほっておこうかと思うのだが、ルームランプが点いている。
仕方がないので、ポケットからキーを取り出して開けようとするのだが、これがまたうまく開かないのだ。
免許を取って最初に乗った車は壊れっぷりも景気がよかった。
エンジンをかけたまま話し込んでしまったら、ポーン!と破裂音がしてボンネットから水蒸気が噴き出した。
走行中にヘッドライトがはずれ、目玉が飛び出したみたいにぶら下がった。
もちろんシートベルトにしゅるる機能などない。
ジャマだったのでナイフで切ってしまった。
エンジンの回転はしょっちゅう上がったり下がったりしたが、ネジみたいな部分をちょいとひねるだけで簡単に調節できた。
思えば昔の機械は歯車やらぜんまいやら見てわかる作りだった。
それがトランジスタだのダイオードだの基板だのと得体の知れないものに変わっていってしまったのだ。
ひょっとしたら、今回の車の不調は、神の領域に足を踏み入れてしまった人間への警鐘なのかもしれない。
あるいは「たまには洗車しろ!」という車の叫びなのかもしれない。