ひところ『ナウい』という言葉が流行したことがある。
「流行の最先端である」というようなニュアンスだろうか。
もちろん、現在では『ナウい』はナウくない。
ところが、最近になってちょくちょくこの言葉を耳にする。
「過去の流行語である『ナウい』をあえて使うというギャグ」として使われるのだ。
『ナウい』のあと『イマい』が現れた。
「もう『ナウい』は古い。今は『イマい』って言うのさ」
と、若者が言っているのをテレビで見た。
田舎に住む若くない者が言うのもなんだが、『イマい』は若者にさえ受け入れられなかったのではないか。
普及度は『ナウい』の方が断然上だった。
これは『ナウい』の方が地力があったのだ。
意味がわかりやすく、使い勝手がいい。
だから年配の人にまで広く普及した。
今、『ナウい』に当たる言葉、つまり「流行の最先端である」を一言で表わす形容詞があるだろうか。
『ナウい』ほど的確な言葉は他に見当たらない。
本来なら『ナウい』は新しい言葉として残る力があったんじゃないか。
そんな『ナウい』が廃れてしまったのは、流行語というくくりにされてしまったからではないか。
流行語は生まれた瞬間に廃れる運命をはらんでいる。
それは、流行を「遅れてるぅ~」とさげすむことによって、自分は更にススンでいるのだと他人に思わせたがる輩がいるからだ。
若者は「遅れてるぅ~」と言われることを極端に恐れる。
だから今、一時的な流行語ではなく、昔から存在する「カワイー」ですべてを表現しているのだ。
そして若者より年配のものは「遅れてるぅ~」と言われると不愉快になる。
何とか一矢報いたいと思っている。
だから「わかってて使ってるんだよ~だ」と言いたいのだ。
だが、もう恐れることはない。
恥ずかしがることはない。
『ナウい』は開放されたのだ!

と、昨日うっかり消してしまったのはこんなことだったのだが、今読み返してみると、そんなことはないな。