珍しい話ではないが、車で通勤するときは音楽を聴いている。
ただ私の場合、音楽を聞くのがめんどくさい。
車にはカセットデッキしか付いていない。
これにコードのついたカセットテープみたいなのを入れてつなぐと、MDも聞けたりするのだ。
説明しにくいが、そういうものを買ったのだ。
カセットからMDになったときはウキウキだった。
頭だしや曲飛ばしは簡単だし、何よりテープのようにかさばらない。
気分は最先端だった。
しかし、人間というのはゼイタクにできているものだ。
じきにMDの出し入れがめんどくさくなってきた。
MD(機械)を袋から出し、あの薄っぺらいMD(盤)を入れ替える。
それだけならカセットの方が断然楽なのだ。
時代はデジタルプレーヤーだ。
前にも書いたことがあるが、音楽も聴けるカメラというのを買った。
今度のはMDと違って、盤を変える必要がない。
ウキウキだ。
ところが、人間というのはゼイタクにできている。
これもめんどくさくなってしまった。
まず、カメラをケースから出し、電源を入れる。
設定を音楽にし、聞く音楽のリストを決める。
(前の続きを聞くときはそのままでいい)
「カセットのようなもの」をデッキに入れ、リモコンを出してカメラに接続する。
リモコンを自分でつけたフックにつけて、スタートを押すと、やっと音楽が始まるのだ。
と、こういう考え方はマイナスな考え方だ。
出発までにこれほどの手間が掛かるのを、めんどくさいと考えずに、カッコいいと思うのだ。
たとえば飛行機なら乗車してからスタートまですごく長い。
頭の上のスイッチをぱちぱちやったり、レバーを引いたり、あちこち確認したりと手順の多さには驚くばかりだ。
シートベルトを締めるのも、コックピットがせまいのも、私の軽自動車と共通している。
「行っといで」と言う妻に「了解(ラジャ)」と答え、愛機に乗り込む。
愛機のイメージは旅客機じゃない。マットアローだ!
エンジンをかけ、シートベルトを締める。
カメラの電源オン、カセットイン!
頭の上のスイッチをパチパチパチ。
燃料良し! サイドブレーキ良し! 自動車学校か!
発進!
ここでBGMが「♪ワンダバダバ ワンダバダバ」
のつもりが、実際は・・・
「♪あ~い~や~」
沖縄民謡だったりするのだ。
こんなに長く書くほどのことではなかったなあ・・