ある日の出来事

ここでは、ある日の出来事 に関する情報を紹介しています。
※今回の記事では、文章にできない事柄を無理やり文章にしている箇所があります。
 できる限りの努力はしていますが、意味がわからない場合はご容赦ください。



いつもの居酒屋のバイト、Mえは言葉を知らない。
なので盛り上がってきた会話の腰を折ることがある。

女子「こみが悪いー」

こみ「なんでワシや」

Mえ「そうやそうや、こみが悪いー」

こみ「おまえら、結託しやがったな」

Mえ「ケッタクって何?」

こみ「結託っていうのはな……」

このようにときどき説明を挟まなくてはならなくなる。
最近では、会話の途中でMえが「○○って何?」と訊ねたら、
その単語を言った者が「ハイ説明」とみんなに責められるようになった。


Mえはどうやら耳も悪い。
先日、女将さんがカップヌードルの新製品の味見をしようと言って作ってくれた。
小皿に取り分けてみんなが口々に感想を言う。
カップヌードルを食べながら、カップヌードルについて話しているとき、
Mえは『カップヌードル』という単語を聞き間違えた。

「え、下腹部?」


Mえにご執心だがまったく相手にされていないある常連が、
ついに「愛情は憎しみに変わる」などと不穏なことを言ったそうだ。
その話を聞いたスキンヘッド2号が、こう言った。

2号「恋愛感情が憎悪に変わったんやな」

Mえ「え、ゾウ?」

2号「ゾウと違う。ゾウオ」

Mえ「ゾウォ? パオーンの?」

2号「ちがう! ゾゥオ!」

Mえ「ゾウを?」

2号「違う! まだ“パオーン”が入っとる。ゾ・ウ・オ!」

Mえ「ゾーオ?」

2号「ちがう!」

Mえ「ゾウ男?」

2号「ちがうもんになったな。聞いたことないかな。
   “憎む”に“悪い”って書いて、ナントカ憎悪、とか言うの……」

Mえの顔を見ていた私はあることに気付き、2号を制止した。

こみ「ちょっとまった。Mえ、お前もう聞いてないやろ!」

Mえ「うん」

こんなやつなのだが憎めないのだった。





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ゾウカしたのか
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木曜日はいつもの居酒屋に行く日だ。
しかし、あまりに早く行くとまだ大皿のおつまみができていない。
暑いし、パワーが有り余っているし、ごぶさただし、
久しぶりに居酒屋前に一人カラオケでもやってやるかと思って会社を出た。

歩きはじめて一分もすると川沿いに出る。
美しいせせらぎなどではなく、いわばドブ川なのだが結構広い。
ここにはカメと鯉がたくさんいる。
私は通るたびにやつらを観察する。

水量がとても少ないが、川の中央あたりに大きなカメが一匹いた。
動かずにじっとしている。
私は足を止めた。
あれはいつも見ているアカミミガメではない。
スッポンではないか。


以前にもこの川でスッポンを見たこととがある。
そのときは水量も多く、もっと川下で土手で日向ぼっこをしていたが、
警戒心が強いのかずいぶん距離があるのに私を見て水中に逃げていった。
だから、この川にはスッポンがいるのだなあ、と知ってはいた。

これがつい最近会社に出た。
昼休みに店長の奥さんが車を出そうとすると、その前にでんと座っていたらしい。
そのときは、カメが平気な口数多子が噛まれないように持って川に戻した。
川からは土手を上って雑草をかき分けて数メートル進まなければならない。
よくぞここまで来たものだとみんなで話していた。


おそらくあいつに違いない。
気温が上昇して、やつらも活発になってきたのだなあ、と思っていた。
よし、写真を撮ってやろうとスマホを出すことにした。
すると、川下からなにやらザブザブ水しぶきを上げながら突進してくるものがある。

またもやスッポンだ。
サイズも同じくぐらいで、明らかにもう一匹を目指して一直線にやってくる。
接触した瞬間、二匹がくんずほぐれつの大乱闘を開始した。
ケンカか交尾かはわからないがデスマッチさながらの暴れっぷりだ。
まさにシャッターチャンス。

が、スマホの画面が思いっきり逆光で、フレームにスッポンが納まっているかわからない。
しかも遠いのでズームしなければならない。
適当にいじっていたら画面に大きな矢印が出てシャッターが切れなくなってしまった。
私は何を起動させてしまったのか。

スッポンがバシャバシャ暴れているのを、川沿いからパシャパシャ撮ることができない。
撮影を中断し、自分の体で影を作って画面を操作する。
何をどうしたのかはわからないが、矢印が消えた。
ズームして撮った、つもりだ。

スッポン


やつらはもめながら徐々に遠ざかっていく。
私もまあいいかと見送る。
スマホをしまうときに時計を見た。
ああ、カラオケ店に6時には間に合わない。
昼間料金でないのならもったいないから、そのまま居酒屋に行くことにしよう。





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えんぎ悪い
いつもの居酒屋に入ると、カウンターはきれいに満席だった。
そのかわりに座敷は無人。
予約も入っていないらしい。

これは都合がいいのか、悪いのか。
今日は、Kちゃんの友人、Qちゃんが来ることになっている。
席が取れたらキープして連絡するように言われていた。
いやいや、打ち合わせたわけではなく、
Kちゃんがバイトの日なので、行くつもりだということをラインで聞いたのだ。

もちろんKちゃんにも連絡は行っていて、
座敷には私とQちゃんの箸が用意された。
Qちゃんとは顔見知りだし、ひとつずつテーブルを占領するわけにもいかない。
そんなわけで、畳席には私がぽつんと一人。
カウンターの常連どもが興味津々でこちらを窺うという形になった。

私には悪いうわさが立っていた。
MえやKちゃんやQちゃんと、コソコソ飲みに行っているというのだ。
これはウソではない。
でも、単独で行くわけではなく、必ず誰か他の常連がいっしょだ。
だから決してコソコソではない。

だが、そのとき呼ばれなかった常連がやっかんでそういうのだ。
私はただ、そういう話が出た時、よくその場にいるだけなのだ。
だいたい飲みに行く計画が立つたびに全員を誘うわけにはいかないではないか。


そのうちにQちゃんが来た。
確かに見た目はアベックみたいかもしれないが、それは一時的なものだ。
常連たちはみんな相席。
カウンターがいっぱいなのだから、次に来た常連はこの席に着く。

が、その前に我慢できなくなった人がいた。
自転車好きのJさんだ。
私も会うのは久しぶりで、私の横に来て座った。
で、Qちゃんに話しかける。

Qちゃんは美人だし、話を合わせるのがうまい。
なんだかJさんはノリノリになってきた。
自転車の話からどんどん自分史を語り始めた。
存分に講義をぶったあと「帰らなならん」と、去っていった。

すると今度はカウンターのスキンヘッド2号と3号と4号がこちらへ移動してきた。
そろそろMえ目当ての社長さんがやってくる時間だから、と言うのだ。
残念ながら、本日Mえは病気で欠席だ。
とはいうがQちゃんが目当てなのは間違いない。
その証拠に、私のことはかまわずにQちゃんにばかり話しかける。

そこへやってきたのが坊主頭Fだ。
彼も2号に呼ばれてこちらの席に着いた。
いつの間にやら、座敷は他の席も埋まっていて、カウンターには誰もいなくなった。
すっかり逆転している。

まるでこの座敷は宴会のような盛り上がりになった。
遅く来たMえ目当ての社長さんだけがカウンターで一人だ。
忙しいからKちゃんもかまってはいられない。
最終的にバイトを終えたKちゃんもこの席に来て落ち着いた。
そして解散。

Qちゃんの人気はすごい。
しかし、私はあまり話していない。





↑で、またコソコソと予定を立てたのだがクリックしてね。





よけい寂しげ
『午後から確実に雨』という予報でも徒歩で出勤する。
健康のため、お腹をひっこめるため。
だいたい車の免許を取る前は、雨が降ったってどこまででも傘を差して歩いたのだ。
帰りは家に着くのだから、ずぶぬれになったって問題はない。
お気に入りのポンチョを着たっていいではないか。

と言いつつも、やっぱり雨の中濡れて歩きたくはない。
でも、行きは晴れているのだから歩きたい。
こんな時の得意のパターンがある。
ちづると会社近くのショッピングセンターで待ち合わせるのだ。
で、スーパーで食品を買ってちづるの車で帰る。

この場合、いつも私は本屋でちづるを待っている。
しかし、前日にこの本屋に来てしまった。
前日はいつもの居酒屋に行ったのだが、新聞配達のじいちゃんが、
「この月曜は新聞の休刊日だから日曜に飲もう」
と誘って来るので、じいちゃんが帰る頃まで時間つぶしをしていたのだ。


だから私は決めていた。
今日は『スターバックス』で一人でコーヒーを飲んでちづるを待つと。
飲むものはアイスコーヒーに泡立てた牛乳を乗せたやつだと。
仕事が終わった時は当然雨。
私は会社に置いてある折りたたみ傘を差してショッピングセンターに向かった。

迷うことなくスターバックスを目指す。
一回、前を素通りする。
思ったよりお客さんは多いが、座れる席はいくつかある。
よし、と観念して、いや決心して中に入り、何か相談しているアベックの後ろに並んだ。
今のうちに泡立てた牛乳の呼び名をメニュー表で探しておこう。

と、元気のいいお姉さんが走り出てきて、

「よろしかったらメニューをどうぞ」

と写真集みたいな厚紙を私に差し出す。

「いえ、あの…」

「ご注文はお決まりですか?」

「はい」

なんで「はい」なんて答えてしまったのだ。
お姉さんは小首をかしげて私は何か言うのを待っているではないか。

「あのーーー」

呼吸が途切れるまで続くのかと思われた「あのーー」の途中でお姉さんが、

「コーヒーですか?」

「はい」

ワシは介護されているのか。
しかし“コーヒー”いう単語を聞いて半分はちゃんと注文できた。

「えーと、アイスコーヒーにふわっとした牛乳の乗ったやつ」

「それでしたら新製品でこのようなものがございます。
 普通のコーヒーにホイップミルクをプラスすることもできますが」

「それでいいです」

「ありがとうございます」

これで注文したことになったのかな、と思っていたら、
アベックが悩んでいる隣のレジで別のお姉さんが「どうぞー」と私を招いた。
あ、おい、さっきのお姉さんとこのお姉さんは接触していないぞ。
ということは私の注文は通じてないではないか。
私の意識には『新製品』という言葉しか残っていないが、
スタバのレジで「新製品」なんて注文の仕方があるのか。

私はレジの人に、

「あの、さっきの人が」

と言ってしまった。
するとさっきのお姉さんが走り戻って来て、私にはわからない何語かで何か言うと、
レジのお姉さんには通じたようで、うなづいていた。
ホッと一息ついていると、

「シロップには〇〇〇と○○○がございますが」

まだワシに何か訊くか!


この後なんとか飲み物を受け取り席についてちづるを待った。
ちづるが来て私に、

「あんた、メガネふたつかけとるよ」

と言った。
どうしてそうなったのか、もう書く気力がない。





↑車関係に『オートオタオタバックス』ってのもあるけどクリックしてね。






冷やすためにアイスで
いつもの居酒屋はいつもになく静かだった。
私が行ったとき、カウンターは2席ほど空いているだけだったが、
座敷には誰も居なくて、予約も入っていないようだった。
早い時間の常連さんが帰ると、残ったのは3人。
オーナーと女将さんとバイト二人で、客より店側の方が多いってなことになっていた。

こういう人数の少ないときは盛り上がる。
女将さんもバイトさんも話題に入って来られるし、
話の途中で注文が入って間が壊れることもない。

「あっ」

と何か気付いたのはMえだ。
スマホを取り出して差し出されたのは『変態度測定アプリ』
十ほどの質問に答えるとその人の変態度がわかるのだそうだ。
Mえが30%、Mえのお母さんが90%だったという。

私、10000%

というところから先日のズボンの穴の話題まで持ち出され、
それはもうみんな涙を流して笑い、久しぶりに盛り上がったのだった。


Mえのバイトが終わった11時。
私ともう一人の10000%、坊主頭のFでごはんを食べに行くことになった。
ちょっと迷った挙句、近場のラーメン屋に行った。
3人でラーメン、焼きそば、チャーハンなどをシェアして食べた。

店を出たらなぜか大雨だ。
稲妻が走るまるで嵐のような夜になっていた。
そのままMえの車で家に送ってもらう。
公民館でラーメン屋にウェストバッグを忘れたことに気が付いた。

私が明日取りに行くと言ったが、Mえが帰りに寄ってみると言ってくれた。
公民館で降ろしてもらい自宅まで走る。
鍵はウェストバッグに入っていたのでチャイムを鳴らす。
ちづるさんに開けてもらわなければならない。

が、なかなか出てこない。
何度も鳴らすが応答がない。
郵便受けのふたを押しあけて「おーい」と呼ぶ。
すると奥から、

「お風呂~」

と返事があった。
空はビカビカ光り、雨はザンザン降りしぶく。
私は玄関の隅っこでしゃがみこんでスマホをいじる。
スマホだけポケットに入れておいてよかった。
MえにLINEでこのことを伝えたらバカウケだ。

その後、なんとMえはFを送ってから戻って来てくれた。
なんと良い子だろう。
これでまた手土産を持って行かなくてはならなくなった。
そしてこの話が、常連たちのおかずにされるのだ。





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ウェストバッグやというとるのに